海から、海藻が消えた。
三代続く海士の家に生まれ、高校卒業と同時に玄界灘へ潜り始めた袈裟丸彰蔵。
二十数年前、見慣れた海底から海藻が消え始めた。後に「磯焼け」と呼ばれる現象。残ったのは、岩肌だけの白い砂漠だった。
海藻を食い荒らす害雲丹(ガンガゼ・ムラサキ雲丹)が異常繁殖していた。誰もが目をそらした問題に、彼は一人で向き合うことを決めた。
一人の海士が、海を取り戻すまで。
三代続く海士の家に生まれ、高校卒業と同時に玄界灘へ潜り始めた袈裟丸彰蔵。
二十数年前、見慣れた海底から海藻が消え始めた。後に「磯焼け」と呼ばれる現象。残ったのは、岩肌だけの白い砂漠だった。
海藻を食い荒らす害雲丹(ガンガゼ・ムラサキ雲丹)が異常繁殖していた。誰もが目をそらした問題に、彼は一人で向き合うことを決めた。
素潜り漁の合間に、害雲丹を叩き割る。海藻の母藻を運び、岩に植える。日銭にならない作業を、二十年続けた。
やがて、串浦地区沿岸2.5km・12ヘクタール、東京ドーム3個分の海域に藻場が戻った。再生事例として全国でも稀少なケースとなり、研究者が視察に訪れる海域となった。
再生した藻場で、駆除対象だった紫雲丹が、極上のテングサとカジメを食べて育ち直した。
かつての加害者が、海の生命力を最も濃密に蓄えた個体へと変わっていた。「赤雲丹ではこの物語は語れない」── 海を壊した紫雲丹こそが、再生の象徴になり得るのだと、彼は気づく。
ここから、袈裟丸の塩雲丹は単なる食材ではなく、海を再生する循環の証となった。
2022年、藻場再生によるCO2吸収がJブルークレジット認証を取得。
2024年、にっぽんの宝物 JAPANグランプリでグランドグランプリ受賞。同年、世界大会(シンガポール)で準グランプリ。
2025年、気候変動アクション環境大臣大賞。一人の海士の二十年が、国家から正式に認められた瞬間だった。
売上の一部は、ガンガゼの駆除、母藻の投下、海底環境の保全費用へ循環させる。
美味しさを楽しむことが、藻場を広げる行為になる。それが袈裟丸の塩雲丹に込められた仕組みです。
海は、まだ広い。一瓶ずつ、ご一緒に。